舜の帰省と写真展が重なったおかげで毎日バタバタさせている。家族で食事もままならなかったが、準備の方はほぼ終わり、一息つくには絶好の夜になった。お客さまはほぼ村の人たち。彼が中学卒業の謝恩会で初めてWaltz for Debbyを弾いた時からの「ファン」だ。Tシャツに短パン。普段着の見慣れた顔が、タングステン光のスポットライトの下でジャズを聴いている。
親のわがままで小学3年生の夏に無理やり帰郷させられた。村へ帰ることを告げた夜、「転校じゃん!」と目が点になった。2年経った5年生でピアノを始める。少年野球一色だった元気坊がピアノを習いたいとは・・・驚いた。だが東京でのマンション暮らしが続いていれば、ありえないシチュエーション。集合住宅でピアノを弾くなどご法度だ。
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2ステージが終わるとすぐにアンコールの拍手が起こり、1曲弾いた後に「ミスティ」のリクエストがあった。10年前の謝恩会で聴いていてくれた方だ。バラードはおはこ。ミスティが終わり大き拍手の後、「では最後に」と、Waltz for Debbyを弾き始めた。何百回と聞かされたが、今夜のアレンジは初めて聴く曲のように新鮮だった。
今さらながら、
帰ってきてよかった。
と思った